母と舟・・・
中国新聞天風録を「読み・書き・タイピング」し、
世の中の出来事を学び、
認知症予防の取り組みで「考える力」の脳トレに
励んでいます。
あなたは、本日の天風録で何を学び、考えましたか?
【 本日(2021.05.28)の 天風録 ↓ ↓ ↓ 】
「母(はは)」なる 一字(いちじ)から、「舟(ふね)」が 頭(あたま)に 浮(う)かんだのは 詩人(しじん)の 吉野 弘(よしの ひろし)さんだ。〈 母(はは)は / 舟(ふね)の 一族(いちぞく)だろうか。/ どんな 荷物(にもつ)を/ 積(つ)み すぎて いる せいか。〉
▲おととい 訃報(ふほう)に 接(せっ)した 詩画家(しがか)、はらみちをさんが 描(えが)き 続(つづ)けた 母(はは)の 絵(え)も、すっと 立(た)っていた 印象(いんしょう)は 乏(とぼ)しい。もんぺ姿(すがた)で 前(まえ)かがみに なり、背負(せお)い かごや 薪(まき)を 担(かつ)ぐか 子(こ)どもを おんぶしている。せわしない ※1 はずなのに、体(からだ)つきも 笑顔(えがお)も ふっくらとして 見(み)える
▲はらさんは 脳性(のうせい)まひで 体(からだ)の 自由(じゆう)が 利(き)かず、8歳(さい)で 父(ちち)と 死別(しべつ)。神戸(こうべ)から 母(はは)の 里(さと) 広島(ひろしま)に 移(うつ)り、背負(せお)われて 学校(がっこう)に 通(かよ)う。「負(お)ぶさって 外(そと)に 出(で)ると、電柱(でんちゅう)が 後(うし)ろに 去(さ)って 行(い)く。山(やま)も 町(まち)も 家(いえ)も 動(うご)くのに 感動(かんどう)した」。以前(いぜん)、講演会(こうえんかい)で そう 振(ふ)り返(かえ)って いた
▲〈 お母(かあ)さんの 背中(せなか)は / 机(つく)に なった/ ベッドに なった〉。詩(し)でも たたえた 背(せ)は、世(よ)の中(なか)に こぎだす 舟(ふね)に なった。40歳(さい)で 親元(おやもと)を 離(はな)れてからは 車(くるま)いすが 舟(ふね)に。還暦(かんれき)の 頃(ころ)に 電動(でんどう)車(くるま)いすを 手(て)に 入(い)れ、「時間(じかん)が 宝石(ほうせき)みたいに 光(ひか)って 見(み)える」と 手放(てばな)しで 喜(よろこ)んで いた
▲いつだったか、5月(がつ)に 吹(ふ)く 風(かぜ)の 肌触(はだざわ)りを 「お母(かあ)さんの 頬(ほほ)ずり」に 例(たと)えて いた。母(はは)の 記憶(きおく)を 呼(よ)び 覚(さ)ますような 感触(かんしょく)の 風(かぜ)に、彼岸(ひがん)への 旅(たび)支度(したく)を したのかも しれない。( ー 引用 ー )
※1 「せわしない」とは、忙しい・落ち着きがないという意味。
私は、詩人の吉野 弘さんのことも、
詩画家のはらみちをさんのことも知りませんでした。
本日の天風録では、
吉野 弘さんの詩を読むことができ、
はらみちをさんの人間性や生き方を学び、
心和む絵に出会い、
「時間が宝石みたいに光って見える」という、
とても素敵な言葉に出会うことができました。
あらためて、
私も、
一瞬、一秒を大切にし、
「時間が宝石みたい光って見える」と言えるくらい
一生懸命生きらねばと思いました。
はらみちをさん、ありがとうございました。
心よりご冥福お祈り申し上げます。