ネリヤカナヤのアダンとは・・・
あなたは、
沖縄戦の手記に良く出てくる植物「アダン」のことを知っていますか?
本日の天風録で、
日本画家 田村一村について学ぶ中で、
植物の「アダン」のことや「ネリヤカナヤ」という言葉の意味を
教えてもらいました。
【 本日(2021.04.30)の 天風録 ↓ ↓ ↓ 】
沖縄戦(おきなわせん)の 手記(しゅき)に アダン ※1 という 植物(しょくぶつ)が よく出(で)てくる。幹(みき)から 多数(たすう)の 気根(きこん)※2 を 垂(た)らす 常緑(じょうりょく)低木(ていぼく)。「やがて 弾着(だんちゃく)を 観測(かんそく)する トンボが 飛(と)んで 来(き)たので われわれは 見(み)つから ないよう、一斉(いっせい)に アダンの 茂(しげ)みに 身(み)を 投(とう)じた」。那覇市(なはし)編(へん)「沖縄(おきなわ)の 慟哭(どうこく)※3 」から
▲ 虫(むし)の トンボに あらず。艦砲(かんぽう)の 着弾地(ちゃくだんち)を 偵察(ていさつ)する 米軍機(べいぐんき)である。やがて 近(ちか)くに 砲弾(ほうだん)が 降(ふ)る。アダンの 茂(しげ)みで 飯(めし)を 炊(た)いていた 者(もの)は 助(たす)かり、離(はな)れていた 者(もの)は 一瞬(いっしゅん)にして 落命(らくめい)した。その群落(ぐんらく)は 海(うみ)と 陸(りく)の あわい〈 間(あいだ)〉だ そうだが、生(せい)と 死(し)の あわいでも あったか
▲ 孤高(ここう)の 日本画家(にほんがか)田中 一村(たなか いっそん)も 好(この)んで アダンを 描(えが)いた。今(いま)、三次(みよし)の 奥田 元栄(おくだ げんそう)・小由女(さゆめ)美術館(びじゅつかん)で 堪能(たんのう)※4 できる
▲ 奄美(あまみ)で 亜熱帯植物(あねったいしょくぶつ)の 生命力(せいめいりょく)に ひかれた 一村(いっそん)。スケッチを 重(かさ)ね、物足(ものた)り なくなると 掘(ほ)って 根(ね)の 張(は)りようを 調(しら)べ、一礼(いちれい)して 土(つち)を 元通(もととお)りにする。漁(りょう)を 終(お)えた 男(おとこ)が 妻(つま)と ともに 海(うみ)に 手(て)を 合(あ)わせる 光景(こうけい)を 目(め)に したからでも あろう。「神(かみ)を 描(えが)いた男(おとこ)・田中 一村(たなか いっそん)」と 題(だい)した 評伝(ひょうでん)※5 を 読(よ)み、土地(とち)への 深(ふか)い 敬意(けいい)が 画業(がぎょう)の 底(そこ)に あると 知(し)る
▲ 名声(めいせい)※7 を 得(え)ず、個展(こてん)も 開(ひら)かず 没(ぼっ)した 一村(いっそん)。今(いま)は 奄美(あまみ)に 記念美術館(きねんびじゅつかん)がある。海(うみ)の 向(む)こうの 楽土(らくど)ーネリヤカナヤ ※8 から 神(かみ)が 訪(おとず)れる という地(ち)を、コロナが 鎮(しず)まれば 訪(おとず)れたい 思(おも)いを 強(つよ)くする。( ー 引用 ー )
(※1)アダンとは
(※2)気根とは、土から露出している根のことを言います。
(※3)慟哭とは、声をあげて激しく嘆き泣くこと。
(※4)堪能とは、満ち足りて十分なこと。
(※5)評伝とは、評論(ひょうろん)※6をまじえた伝記(でんき)。
(※6)評論とは、物事のよしあし・優劣・価値などについて論じること。また、その文章。
(※7)名声とは、名誉ある評判。
(※8)ネリヤカナヤとは、奄美の方言で「海のかなたの楽園」